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バイハートでの作業と高齢者の健康について
< 医学的見地からの考察 >

医師 医学博士 小柳 淳一朗

我が国、日本は総人口の21%以上が65歳以上となった超高齢社会となり、介護予防の必要性が叫ばれて久しいですが、高齢者一人一人が生きがいをもって健康な体を維持していくにはどうしたらよいのでしょうか。

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私は整形外科医としてこれまで20年間、様々な患者さんを診てきました。人間誰でも加齢による運動能力の低下がおこってしまいます。

中でも、会社を退職したのちは社会との関りが減ってやりがいを見出しにくくなることから、家から出にくくなる傾向にあります。

その結果、活動機会が減って筋肉が細る、歩く量が減る、膝や腰が思うように動かなくなるなどの移動能力の低下、ロコモ1) 状態となってしまいます。

外出が減って閉じこもりがちになると、さらに運動機能が低下し精神的な孤立状態といった悪循環に陥ってしまいます。

将来の介護を予防し、少しでも健康寿命2) を維持するためには、社会との繋がりを保ちつつ運動機能の低下防止に努めることが大変重要なのです。

注釈 1) https://locomo-joa.jp/locomo/

注釈 2) 健康寿命:健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間

ここで、株式会社バイハートさんでの働き方を見てみましょう。

まず、業務の一つである「ショッピングカートの運搬」ですが、これは、カートを手に大規模店舗内を歩き回ることになります。

一日あたり4~5時間この作業をした場合、1.5~2万歩を歩行したのに相当する運動量にあたります。

これは高齢者の一日の歩数目標(約6700歩)3)とされる歩数の2~3倍程度であり、これだけでも十分な身体活動となります。

ショッピングカート

注釈 3) 厚生労働省 健康日本21

https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2.html#A24

さらに、カートを10個程連結して運んだ場合、総重量は60~100kg程度となりますが、これは高齢者の方々にとっても適度な身体負荷となり、決して無理のない運動となるでしょう。

また、来店する利用者と挨拶をかわしたり、案内をしたりする接客業務を行うことや、同僚と連携して仕事を行うことは、社会との接点を持つことになり新たな生きがいにもつながるかもしれません。

以上より、バイハートでの仕事は適度な運動と社会参画を通じ、高齢者の健康寿命に寄与するものであり、社会的孤立防止の一助となる大変有意義なものと考えます。

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医師 医学博士 小柳 淳一朗

大阪ろうさい病院 整形外科 副部長

専門:関節外科、人工股関節・膝関節

2003年 大阪大学医学部医学科卒業

2012年 大阪大学大学院医学部運動器

バイオマテリアル学卒業

日本整形外科学会(専門医)

日本人工関節学会(認定医)

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